2005年11月24日

【メモ】tRNA擬態

【メモ】tRNA擬態

 ※今日はちょっとマニアックなお話。
  分子生物学に興味がない人は,読み飛ばし推奨。

植物病理学研究室の実験で,
ファイトプラズマのシークエンスの解析の実習をしていて,
「tRNA擬態」という,おもしろいトピックを見かけたので,
メモしておく。

「Elongation factor(EF)」という,転写伸長因子についての話である。

遺伝子翻訳システムの重要なタンパク質の分子構造を解明
− タンパク質がRNAの分子擬態をしていることが明らかに − 平成16年6月22日 独立行政法人理化学研究所


一部,引用します。
最も興味深いのは、EF-Pの全体構造が、トランスファーRNA(tRNA)と呼ばれる
翻訳において中心的な働きを担う核酸(RNA)分子に酷似していたことです(図3)。

EF-Pはタンパク質から、tRNAはRNAと呼ばれる核酸からできており、
各々を構成する物質は全く異なります。
にも関わらず、どちらもその全体構造はL字構造をとっており、
その大きさ、折れ曲がりの角度など、非常によく似ていました。

つまり、EF-Pはタンパク質でありながら、
tRNA分子を擬態しているということができます。

このことから、EF-Pは
tRNAの様にリボソームの中のtRNAの指定席となっている場所で働くのではないか
という、機能解明における大きなヒントを得ることが出来ました。

これまでも翻訳機構を司る様々な因子が、
tRNAに似た全体構造を持つことが示唆されていました。
EF-Pは、それらの翻訳因子と比較しても、
最もtRNAに類似した構造を持っています。
今回明らかになったEF-Pの立体構造は、
翻訳因子はその分子構造をtRNAに擬態させている、という
“tRNA 擬態”と名付けられた概念を強く支持しています。

蛋白質であるEF-Pが拡散であるtRNA様の立体構造を模倣することにより、
共通の分子基盤をもち、
tRNAによって司られている役割(例:遺伝暗号の翻訳など)を
果たすのではないかと考えられます。

図3ってのが,これです。

http://www.spring8.or.jp/j/press/040622/fig3.html

これ見ると,「おー,そっくりじゃん!」と思えます。
立体構造がおんなじなんで,
普段はtRNAがはまるリボソームの部位にポコッとはまって,
tRNAと同じ働きをする,というわけです。

転写因子ってのは,そういう仕組みで転写因子たりえていたのか,と思って,
けっこう私の脳みそは喜んでおりました。


配属研究室が決まる時期が近付いていることもあり,
一時期衰えていた「生物熱」が,徐々に高まってきています。

読書も,今日,『仮説実験授業の研究論と組織論』を読み終えて,
このところ集中的に読んでいた,科学論・組織論の本も一区切り付いたので,
そろそろ,生物学系にシフトしていこうかなぁ,と思ってます。

ブログの記事も,今後,そういう内容が増えていくかも。
でも,そうすると,第3者の人は,読むに耐えないですねぇ……(^^;)。
Posted by gandhi at 23:36│Comments(0)TrackBack(0)記事編集農学部一類生活

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