■尼崎たのしい授業フェスティバル報告(3)環日本海諸国図
尼崎で竹内徹也さんという方から購入した,ちょっとおもしろい地図です。
この地図は,富山県を中心に,南を上にして作ってあるのです。
え?なにがおもしろいのかって?
向きが変われば「えーッ!!ふう〜ん!!」 (2000.3.3/大阪・汎愛高等学校 竹内徹也)
「これを知らない人は幸せだ。人生の楽しみがまだひとつ残されている」
なんてセリフを呟きたくなるような地図をご紹介します。
目からウロコに涙,コンタクトまでぼろぼろ落ちてしまい,
何人か集まって眺めていると,イメージがトンデモなく広がって話題が尽きず,
時間がたつのもトイレにたつのも忘れてしまう。
そんなこわーい魅力のある地図です。
どんな地図かと言うと,
富山市を中心に〈正距方位図法〉(つまり中心からの直線距離と方角が正しく表示される地図)で描かれた東アジアの地図。
ところが中国・ロシアを下(手前)に,日本列島を上(向こう側)にして,
広ーい太平洋をほとんど視野から外してしまうことによって,
日本海が湖,というより地中海に見える。
スペインからギリシア,中東から北アフリカを含む沿海地域を〈地中海世界〉と
ひとくくりの文化圏と見る方法が有効ならば,
ここに「環日本海」という考え方が成り立って当たり前。
今まで「環太平洋」という言葉が使われてきたけど,そうか,「環日本海」なのか。
気づかなかった。
朝鮮半島はイタリア?それともギリシア?
済州島はシチリア島みたいなもの?
日本のアレクサンドリアはどこなのか?カサブランカは?…と想像は果てしない。
また,サハリンから琉球沖縄・台湾まで見事な〈弧状列島〉として描かれているのがすばらしい。
「元寇」は日本から見ると〈来襲〉だが,
モンゴル人の視点からは朝鮮を出撃基地にした日本侵攻作戦。
豊臣秀吉出兵は「お,来やがったな」という感じになる。
そのほか,十字軍が渡ったように,遣唐使・鑑真さん・渡来銭・琉球王国の貿易…
など人とモノの流れるさまが,次々と浮かんでくる。
実に不思議な快感なのだッ。
かつて柳田国男は「海上の道」を探索して日本的なるものの源流をもとめたけれども,
今も昔も貿易の中心は海上輸送です。
重いものやかさばるものを大量に運べるのは船しかないのだから。
昔から日本海は沿岸諸国の人やモノや商品が行き交う交通路だった。
それに昔は〈国境を越える〉という意識がずっと希薄だったように思える。
とするなら,
これからの世界も日本・中国・台湾・朝鮮=韓国・ロシアが仲良く〈共栄〉していきたいという願いが
自然に芽生えてくるこの地図は,ステキな平和教材の1つということになる。
「その中心は富山だ!」というのは物騒な感じもするが,
それが富山だと許せそうな気にもなる(富山のみなさま,ごめんなさい)。
〈富山に首都を移転する〉という謀略が密かに進められているというのは本当か。
2020年頃にECに対抗して環日本海諸国が統一通貨を発行するという計画は実現するのか。
SONYが富山の置き薬会社を買収して世界中に市場展開するという戦略はどこまで有効か?
不勉強な僕には分からない。
しかし,この地図を知ってしまった以上,僕は富山市の野望を支持する。
がんばれ,富山の薬売り!