2004年03月22日

【本】『人はどうして死にたがるのか』

【本】『人はどうして死にたがるのか〜「自殺したい」が「生きよう」に変わる瞬間』

人はどうして死にたがるのか 「自殺したい」が「生きよう」に変わる瞬間
著者:下園壮太
出版社:文芸社
価格:¥1500-

うつ病で苦しむ人/苦しむ人が周りにいる人へ,この本を強く推薦します。

ぼくはこの本を読んで,
初めて「なぜうつ病になるのか」について納得のいく説明を得られました。
著者曰く,


・<不安>や<驚き>や<苦しみ><悲しみ>などの感情のプログラムは,
自然淘汰によって選択されてきたものである。

・したがって,それらは本来「生きる」ために動作するものである。

・しかし,そのような淘汰がおこった原始時代と現代とでは,環境が大きく異なり,
その環境の違いが,上記の感情のプログラムの〈誤作動〉を招いている。

・そしてこの〈感情のプログラムが一斉に誤作動した状態〉が,「うつ病」である。


著者はうつ病の原因をこう分析した上で,
「では誤作動を修正し,回復するには」
「誤作動を予防するには」
「死にたい気持ちを持つ人にどう接したらよいか」
などを,親切丁寧に解説してくれます。

なぜ死にたくなるのか,が理解できれば,恐れはずっと減ります。
どう対処すればいいのかがわかれば,希望が湧いてきます。

本書の最後の言葉,

神よ,私に変えられるものを変える「勇気」と,
変えられないものを受け入れる「冷静さ」と,
その二つを見極める「知恵」を与えたまえ。
                 神学者 ニーバー


この本は,その「知恵」と「勇気」と「冷静さ」を与えてくれる本です。オススメです。


〔追記〕(04.4.11)
著者のインタビューの掲載されたページを見つけました。
http://images2.bungeisha.co.jp/library/best/bn/hitowa_sinitagaru/



【追記】(05.12.30)
noukoさんのOrangutan webblog経由で,
EP : end-point  科学に佇む心と体
この本が紹介されているのを知った。

Orangutan webblog:だから社会生物学者は嫌われる
EP : end-point  科学に佇む心と体(旧ブログ): 防衛庁経由・うつ病救済行き

せっかくなので,この記事をトラックバックします。

上記記事でEP : end-point さんは
うつの本人が読んだらダメだ。 よけいきつくなる。
 「人を救いたい」と思う人が読むべきだ。
 救われたい人間や救われていない人間にはきつすぎるくだりがある。

と書いておられるが,ぼくはそうは思わない。

ぼくがこの本を読んだのは,
約2年前,再発して,まだまだ調子のよくない時だった。
でも,この本を読んで,
うつ病になる理由が進化心理学的な観点から納得いったのは,
その後の回復に,非常に役に立ったと思っている。

(ただし,確かに絶不調の時期には読まない方がいいかもしれない)


ちなみに,うつ病はその後,時間をかけて,
すっかりよくなりましたことも,報告しておきます。

ガンジス川のほとり〜ガンジーblog:うつ病通院日記〜通院,終了

うつ病は,治ります。
苦しみの中でこの記事を読んでおられる方,どうか,あきらめないでくださいね。


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この記事へのコメント
トラックバック、ありがとうございました。
(お礼が遅くなってしまってすいません)
進化心理学が実際にうつ病の治療に役立った、という話を聞くと、生物学者としてはちょっとホッとする思いです。
ぜひこの本、読んでみたいと思います。
Posted by nouko at 2006年01月04日 22:53
>noukoさん
いえいえ,お礼のために送ってるわけではありませんので。

この本の内容,
こまかいところは多少アヤしいかもしれませんが,
大筋では,そんなにムチャクチャなことは言ってないと思います。
ぼくとしては,納得できて,
自分の状態を把握し,客観視するのに役立ちました。
オススメの本です。
Posted by ガンジー at 2006年01月05日 00:05