今日は海の日だ。
昔,まだ海の日が「第3月曜」じゃなくて,
「20日」だったころ。
夏休みの初日が,ちょうど海の日で,
お昼を食べて,母の実家に行くのが,毎年の恒例行事だった。
母の実家は,港区の,港の方にあるのだ。
あの頃はまだ祖母も元気で,
行くと,「たっちゃん,しとちゃん,よう来たね。
寒天つくったで,食べやぁ,食べやぁ」と,
よく冷えた,ほのかに甘い寒天を勧めてくれるのだった。
(祖母は三河の出身で,
三河訛りは,「し」と「ひ」が逆になるのだ)
夕方,親戚一同があつまってきたところで,
縁日へ出かけて,屋台の並んだ通りを歩きながら,
港の先の方まで。
やがて日が暮れて,十分に暗くなったころ,
1発目の花火が,「どーん」と,空に咲く。
さんざん花火を眺めて,
風船釣りと,金魚すくいをして,
次の日には半分以上死んでしまう金魚を,
それでもうれしく思いながら,
透明なビニール袋を下げて,家まで帰る。
まだ祖母がボケていなくて,
海の日が,20日だったころの思い出……
中学,高校と大きくなるにつれて,
みなと祭はいつの間にか,やたらと多く人が集まる,
ただの「イベント」になってしまって,
昔ながらの「地域のお祭り」といった,
独特の風情は,失われてしまった。
それぞれが大きくなって,
大学生になって名古屋を離れていったりして,
自分も東京に出て,
気がつけば,親戚みんなで集まることもなくなって。
祖母もいつの間にかすっかりボケて,
特別養護施設に入ってしまった……
もう,あの寒天を味わうことは,この先ないのだ。
別に「あの頃の方がよかった」とは思わないし,
思ったところで,時の流れというのは止まらないものだけれど,
小学生だったころの,大切な思い出として,
それは,私の胸の中に,ある。
*
ふと,そんなことを思った。
今日は海の日なんですね。
ちっとも,実感湧かないなぁ……
【近況】
就職活動をしています。
結果が出るまで,気分的にあまりぱーっとしない,
宙ぶらりんな日々がつづきそうです。
大学の方は,おそらく9月卒業をすることになりそうです。