2005年02月18日

【訂正記事】「利己的遺伝子説」というものは存在しない

【訂正記事】「利己的遺伝子説」というものは存在しない

1月17日の記事,「「不機嫌なジーン」による,利己的遺伝子説への誤解の蔓延を憂う」について,
訂正をします。

「利己的遺伝子説」というものは,存在しません。

したがって,タイトルからして誤りだったことになります。
お詫びして,訂正いたします。

この点については,
空飛ぶ教授のエコロジー日記を書かれているyaharaさん(九州大学の矢原徹一さん)
からご教授を受けました。
同サイト2月18日の日記,「昼休みのブログ」より引用します。

ドーキンスが『利己的遺伝子』で紹介した考え方は、
1960〜70年代に発展した、次の3つの理論に支えられている。
(1)ハミルトンの血縁淘汰理論、
(2)メイナードスミスのESS(進化的に安定な戦略)理論、
(3)性淘汰理論。
最初の2つは、ダーウィンの自然淘汰理論を発展させたものであり、
3番目はダーウィンの性淘汰理論そのものだが、
数学的に定式化され、精密化された点、
および実験的検証をともなった点が、大きな違いである。
(中略)
ドーキンスの『利己的遺伝子』は、このような研究の成果を一般向けに紹介した著作である。
その著作の中に、オリジナルな理論は、ない。


ということです。

いちおう確認のため,長谷川寿一・長谷川真理子『進化と人間行動』(東京大学出版会)も参照してみました。

同書70ページ,
「利己的な遺伝子」という概念は,実はドーキンスの専売特許ではありません。
そのような名前をつけて一般に広めたのは彼の功績ですが,
このアイデア自体は,多くの進化生物学者による近年の進歩の集大成です。

そのアイデアというのは,
「進化の単位は,究極的には集団でも個体でもなく,遺伝子である」
というもので,この本でも,
自然淘汰をその考えにのっとってせつめいしていま説明しています。

それは,W.D.ハミルトンやG.C.ウィリアムズ,J.メイナード=スミスなど
多くの研究者の業績によって発展させられてきたものなのです。


ということで,よく読んでみれば,確かに答えが書いてあります。
自分の不勉強を恥じるとともに,
yaharaさんに深くお礼申し上げます。
丁寧にお応えいただき,ありがとうございました。

また読者のみなさまに誤解を広めるような記事を書いたことを
お詫びします。どうもすみませんでした。

なお,一方で,

「社会に普及定着した」のは、「南原教授の間違い」のような誤解である。
「不機嫌なジーン」がそのような誤解を広げないようにと、
多くの行動学者が願っている。

(再び「昼休みのブログ」より)
という気持ちは,ぼくも同じです。

その点については,訂正した記事の【追記6】
書きましたので,そちらを参照していただければと思います。

また,「利己的遺伝子説」という“誤解”された用語は,
かなり定着しており(googleで2月18日現在,4990件ヒット),
「利己的遺伝子説」という検索ワードで上記記事に来られる方も多いので,
はっきりと訂正を入れた上で,
あえて記事タイトルは訂正せず,残しておこうと思います。
どうぞご了承ください。
Posted by gandhi at 14:53│Comments(2)TrackBack(0)記事編集そのほか雑記

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/gandhi/14574989
この記事へのコメント
『不機嫌なジーン』では“浮気は遺伝子のせいか?”ということはしっかり否定していましたよ。
Posted by ジーン at 2005年05月23日 18:45
>ジーンさん

こんにちは。はじめまして。
実はぼくは,2回目以降は全く見ておりません。
ご指摘いただき,ありがとうございました。
Posted by ガンジー at 2005年05月24日 09:58